「幽霊が"でる"」という噂は何故生まれる? ―幽霊"発生"の瞬間を捉えた映像から考えてみた―
「一龍旅館」という廃旅館をご存知でしょうか。
オカルト界隈では知る人ぞ知る、約半世紀も廃墟状態で放置された、大阪・泉州にある稀有な廃旅館のことです。
今回は、この一龍旅館を例にして、ありがちな「あの廃墟では幽霊がでる」という噂がなぜ発生するのかを考えたいと思います。
(「一龍旅館」自体は、僕自身が何度か足を運んでおり、大真面目に作成したレポートもありますので、また後日紹介することにします。)
一龍旅館の近影(めちゃくちゃ怖い雰囲気ある)
↓今回取り上げる動画
あるあるの、心霊スポットにカメラ持って実況するやつですね。
ただ、この動画を紹介する理由が、「幽霊が誕生する瞬間」が収められているから。
「20分も見てらんねーよ」という人のために、雑ではありますが、箇条書きで紹介していこうと思います。
実況者が(死語で言うならうp主か?)、いつも通り廃墟に潜入してビデオを回すんですが、動画冒頭より不穏な雰囲気を漂わせます。
1分頃から、「もう3時半なのに若者が肝試しをしている」と言う訳で。
俗に言う、夜中に廃墟を荒らしまわる肝試し集団の輩たちですわ。
実況者は彼らに構わず廃墟内の探索を続けるのですが、動画開始7分頃から状況が些か変わってきます。
輩たちの番がいう訳です「なんか光ってる!!!」(大声)と。
10分頃から、輩たちは中に入ってきます。
10:20頃には「誰かいる!?」と不審がります。
お分かりでしょうか?
彼らは、実況者(人間、一応)を、謎の不審な存在として認識しているのです。
17:20頃には、不安の域も頂点に達したのか「誰か近づいてくる」と言う始末。
僕は、初めてこの動画を見たときに閃きました。
「これか。これが"幽霊が出る"って噂の発生原因や」と。
深夜、外部からの情報が限られ、尚且つ心理的に不安な状態にある心霊スポットで見知らぬ足音を聞く...。
これに興奮状態の集団心理も相まって、認識できない他者を「幽霊」と勘違いしたのではないだろうかと思ったわけです。
加えて、入る前の段階で耳にした「あの廃墟には""出る""」という噂・・・。
勿論、僕自身の主観でもありますし、客観的なデータでこれを示せるわけではありません。あくまで仮説です。
ただ、似たような話しを中山市朗先生(怪談師・胡散臭い人ではない)の家に招待され、怪談会を催した際に聞いたことがあります。
-とある校舎では、日が暮れると霊が物音を立てる言われていた。
私は、そんなことも当時はつゆ知らず、その校舎で作業をしていたのだが、いつしか門限を過ぎ、警備員が巡回を始めた。
彼らの足音を聞いた私は、慌てて、用具入れに身を隠してやり過ごそうとした。
その時、焦っていたので、些か物音を出してしまったのです。
そして、彼ら警備員が、私が潜んでいる部屋に懐中電灯を照らしてこう言ったのです。
「なぁ、やっぱりこの建物には""出る""んや。お前も物音聞いたやろ?」と。-
これも、先程僕が話したもののような、「"出る"と噂されている場所で物音を聞かれたら、相手が自分を幽霊と誤認した」パターンのやつです。
僕はオタクなんで知りませんが、やっぱり男女で深夜にワイワイ廃墟に行くと、ちょっとした物音でも「幽霊や!!!」ってなるんですかね?
それでワンチャン密着?
・・・長々と講釈を垂れましたが、「幽霊」の存在する噂は、極めて曖昧で、被経験者の思い込みで作り出されるものでもあるということです。
これに類似しているのが、「あの廃墟で"殺人事件があった"」というものです。
これも、大真面目に考察したことがあるので、またの機会に書かせて頂きます。
勿論、全ての幽霊に関する噂の原因がこれとは言っていません。
本当に幽霊が出ているのなら、それはそれで面白そうですね。